それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 彼女を知れば知るほど、深みにはまっていっている自覚がある。
 彼女の心も手に入れたい。身体だけでは満足できない。その思いが強くなっていることもわかっている。
 ただの協力者でしかない男が実はこんな激情を腹の中に抱えていると知ったなら、彼女は逃げだすに違いない。
 それは嫌だ。でも身体だけも嫌だ。
 なんて身勝手でわがままなのだろうと、自分でも心底呆れる。

(どうしたものかな……)

 心の中で自問する。
 自分はどうしたい? どうすべきか?

(だが、心が手に入らない虚しさを知ってしまった今、計画は続けられないな)

 身体だけでもいいと、前のように割り切れなくなってしまったのなら。
 愛してほしい。愛させてほしい。この乾きにも似た想いは、このまま彼女を抱き続ければ続けるほど、どんどん潤いを求めてしまうだろう。そうなれば自分でも自分の感情をコントロールできなくなるのが目に見えている。
 心が手に入らなくても、せめて嫌われたくはないから。

(俺は、こんなにも臆病だったのか)