それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 四人中三人の王子が結婚しており、第二王子と第三王子は厳密に言えばもう公爵の地位をもらって領地を治めているはずなのに、定期的に王宮に帰ってくるくらいだ。
 なお、その既婚者の中で唯一恋愛結婚をしたのはまさかのリヒトで、第二王子と第三王子は政略結婚である。
 ふたりとも細かい状況は異なるものの、妻に尻に敷かれているのは同じだ。
 そしてロランが独身だった頃、ロランに一番結婚を勧めてきたのが第三王子である。自分のように尻に敷かれる旦那仲間を集めたかったらしい。
 だからか、ロランがミレッラと結婚した時、結婚生活についてよく訊ねてきたのはこの王子だ。まあ、当然賭けのことを話すわけにはいかなかったので、適当に流したけれど。

「ふむ。つまりどういうことだ、ロラン? おまえは政略結婚したご令嬢を好きになったが、振られたということか?」

 四人の王子たちの中で一番真面目で融通の利かない第二王子が、カクッと音がしそうなきびきびとした動作で首を傾げた。もっと自然な動作で動けないのかといつも思う。

「振った振られたの話じゃない。そもそもミレッラには最初から振られている」
「違うでしょ。それこそ振った振られたの話じゃないよね? だって告白すらしてないんだから」

 リヒトに容赦なく指摘されて目を逸らす。
 寝転がっていた第四王子が身体を起こし、ロランの背後へやって来ると、後ろから肩に腕を回してきた。