それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう


   *


「――というわけで、おまえの言う通りになった、リヒト」
「え? 本気で言ってるの?」

 翌日、ロランは王宮に出仕すると、王子たちに呼びだされたついでに昨日の失態について話した。ちなみに、一緒 に出仕していたミレッラは、今頃書庫で叔父の不正について調べているだろう。
 王子たちがロランを呼んだのは仕事の話だったが、それが終わるといつものように雑談に入る。
 王太子であるリヒトの私室には今、他三人の王子とロランしかいない。
 身内ばかりの集まりのため、各々がくつろいだ様子でソファに座っていた。

「えー、じゃあロラン、もしかして離婚するの?」

 ロランより三つ下で十九歳の第四王子が、自分より五つ歳上の第三王子の膝に頭を乗せながら話に割り込んでくる。
 リヒトが「こら」と末弟を窘めた。

「言っていいことと悪いことがあるよ。ロランはまだ振られてないんだから」
「いやいや、『まだ』っていうのも結構酷いよ~、兄さん」

 第三王子がけらけらと笑う。
 この兄弟は、王族という一歩間違えれば殺伐としそうな環境で育ちながらも、周囲が驚くほどに仲がいい。