ロランは物心つく前から、大層かわいらしい子どもとして周囲の耳目を集めていた。
成長にするにつれ稀に見る美少年ともてはやされるようになったが、それは何も嬉しい評価だけではなかったのだと、ある事件を通して知ることとなる。
それは、自分と同じ王家に連なる血筋の公爵に、薄汚い欲望を満たす道具として連れ去られた事件だ。
連れ去りと言っても、両親は外面のよかった男の口車に嵌められて、ただ親戚の家に子どもを預けただけの感覚だった。
当時のロランもまた、優しい親戚のおじさんという認識で懐いていた。
が、結局優しかったのは下心があったからで、本性はとんでもないクズだった。
ロランはその男から自分の持つ力の全てを使って逃げだしたので、なんとか事なきを得たが、これは不幸中の幸いだった。
その日を境に、ロランは自分に向けられる見た目への称賛が気持ち悪くて仕方なくなってしまった。
男も女も関係ない。とにかくそういう目線の全てが不愉快で、煩わしい。
こんな顔だからいけないのかと考え、一度本当に焼いてしまおうとした時もあったが、母に泣きながら止められたのでさすがにやめた。
そんな時、父が気分転換に連れ出してくれた観劇で、本物の怪我のように見せた特殊なメイクのことを知ったのだ。
