「だから安心して。私から持ちかけた賭けだもの。途中で他の人に寝返るような真似も、あなた以外を頼るような真似もしないわ」
その証として、ミレッラはロランに口づけを贈った。触れるだけの、羽根のように軽いものを。
至近距離で見つめ合うと、お互い何も言わずとも、心が通じ合ったかのようにもう一度唇を重ねる。
今度は子ども騙しのようなキスではない、互いの心を確かめ合うような、探り合うような、深く、熱を帯びた口づけだ。
やがて屋敷に着き、それから始まったふたりの時間の中で、ミレッラは彼の常より甘い視線と、全身で愛を乞うかのような熱情に、ただひたすらに翻弄された。
ふたりの間に愛なんてないと、わかっているのに。
ミレッラが自分の気持ちに観念した途端にこの仕打ちは、心に甘い毒を流し込まれているようで辛かった。それはいずれ自分の心を殺す毒だとわかっていても、その甘美さに酔いしれて抗えない。
いつもはある憎まれ口も、虚勢を張った言葉も、偽りの甘言だって、互いの間には存在しない。
見上げた彼の額から、汗が一筋頬を伝う。なんとはなしにそれに手を伸ばしたら、何を思ったのか、ロランがそこに頬を擦り寄せてきた。
ふいに流された眼差しに、ドキリとする。
まるで「これで誰のものか自覚したか?」と訊ねるような、請うようなそれに、甘噛みされたような痛みが胸の内に広がった。
結局夜明け前まで離してもらえなかったミレッラは、ロランの寝室でそのまま眠ってしまう。
だから、傍らで彼がこぼした後悔を、拾い上げることはできなかった。
「――……すまない、ミレッラ。もう二度と、こんなことはしないから」
もし拾い上げていられたなら、あんなにすれ違うことはなかったのに。
その証として、ミレッラはロランに口づけを贈った。触れるだけの、羽根のように軽いものを。
至近距離で見つめ合うと、お互い何も言わずとも、心が通じ合ったかのようにもう一度唇を重ねる。
今度は子ども騙しのようなキスではない、互いの心を確かめ合うような、探り合うような、深く、熱を帯びた口づけだ。
やがて屋敷に着き、それから始まったふたりの時間の中で、ミレッラは彼の常より甘い視線と、全身で愛を乞うかのような熱情に、ただひたすらに翻弄された。
ふたりの間に愛なんてないと、わかっているのに。
ミレッラが自分の気持ちに観念した途端にこの仕打ちは、心に甘い毒を流し込まれているようで辛かった。それはいずれ自分の心を殺す毒だとわかっていても、その甘美さに酔いしれて抗えない。
いつもはある憎まれ口も、虚勢を張った言葉も、偽りの甘言だって、互いの間には存在しない。
見上げた彼の額から、汗が一筋頬を伝う。なんとはなしにそれに手を伸ばしたら、何を思ったのか、ロランがそこに頬を擦り寄せてきた。
ふいに流された眼差しに、ドキリとする。
まるで「これで誰のものか自覚したか?」と訊ねるような、請うようなそれに、甘噛みされたような痛みが胸の内に広がった。
結局夜明け前まで離してもらえなかったミレッラは、ロランの寝室でそのまま眠ってしまう。
だから、傍らで彼がこぼした後悔を、拾い上げることはできなかった。
「――……すまない、ミレッラ。もう二度と、こんなことはしないから」
もし拾い上げていられたなら、あんなにすれ違うことはなかったのに。
