それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 カリーナは昔から、ミレッラのものをなんでも欲しがったから。

(そんなことより、どうすればいいの……あんなに法の抜け穴を探したり、条件を呑んでくれる男性を探したり、叔父たちにバレないよう必死に取り繕って、暴力にも耐えてきたのに……っ)

 それが、たった一瞬で瓦解した。エーゲハルトの呑気な裏切りのせいで、これまでの努力全てが水の泡となってしまった。
 じんわりと視界がぼやける。
 でも泣けない。泣きたくない。絶対に彼らに涙なんて見せてやるつもりはない。
 どんなに痛くても、悔しくても、彼らを喜ばせるとわかっていて惨めに嗚咽を漏らすなんて嫌だから。

「謝りなさい」
「っ……?」
「ふたりに謝りなさいと言っとるんだ!」

 叔父がミレッラのお腹を蹴る。もうずっとまともな食事にありつけていない胃は何も吐き出しはしなかったが、肉がない分、身体中に衝撃が響き渡った。
 しかもここ最近は、心配事やストレスなどが重なったせいで寝不足になっていて、踏ん張る気力もなくふらついた。