それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 カリーナを女神のように崇めてくれて、垂れ目で甘い顔はまさに好みの顔で、しかも夜はエーゲハルトより甘い夢を見せてくれる。

「どうしたの。おまえ、お父様にお遣いを頼まれていたんじゃなかった?」
「終わりましたので戻って参りました。ところでカリーナ様、ご報告が」
「なあに?」

 どうせエーゲハルトはまだ戻ってこないだろうと踏み、従僕に戯れのキスでも仕掛けようと手を伸ばした時、信じられない話を聞かされる。

「リステア公爵のもとへ嫁いだミレッラ様ですが、意外にも夫婦仲はよいそうですよ」
「――は?」

 従僕の頬に触れる前に手が止まる。それは聞き捨てならない。

「どういうこと? リステア公爵は冷酷で醜くて、高位貴族令嬢がこぞって逃げだした男でしょ?」
「ええ。ですが、旦那様からの御命令で様子を見に行ったところ、仲睦まじくやっているとの情報を掴みました」
「……へぇ。仲睦まじく、ね。幸せそうだったの?」
「そこまでは伺っておりませんが、あの仮面公爵が笑っていたらしく、周囲の者がとても驚いていると」

 無意識に右足を細かく揺すっていた。
 カリーナでさえリステア公爵の冷酷無表情ぶりは耳にしたことがある。