それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 焦げ茶色の髪を襟足のところでひとつに結んだこの優男は、今カリーナがキープしている男の中で最も気に入っている従僕だ。
 正直に言ってエーゲハルトは、カリーナの好みからは外れている。
 けれどミレッラの婚約者だったから、迷わず寝取った。
 ミレッラが幸せな結婚をするのは許さない。
 自分が苦しんだ分、苦しんで苦しんで苦しみ抜いてもらわないと割りに合わない。
 しかも父曰く、ミレッラはエーゲハルトと結婚して、イラニア伯爵の地位を取り返そうとしていたらしい。どこまでいっても性格の悪い女だ。また人のものを横取りする気だったなんて。
 でもエーゲハルトをミレッラから奪ったことで、その企みも砕け散った。
 エーゲハルトがカリーナに取られたと知った時のミレッラの顔といったらない。最高だった。いつも気丈なミレッラが、初めてカリーナに見せた悔しそうな顔。
 あの顔を見られただけで、好みでないエーゲハルトに抱かれた甲斐もあったというものだ。
 けれど、やはり好みでないせいで、彼の相手ばかりするのは億劫だった。
 そういう時に口直しとして有能なのが、この従僕だ。