それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 リーナはかわいい。
 リーナは世界で一番かわいい。
 誰もがリーナの魅力にハマる。
 でもリーナはかっこいい人にだけハマる。
 そうじゃないならリーナを褒めること。
 それができないなら貢ぐこと。
 それもできないなら、人間じゃないから家畜として売ってあげる。

「リーナはね、かわいいの。美しいって言っちゃだめ。美しいって言われると……言われる、とッ、ああああやだわっ、あの女を思い出しちゃうじゃない! あいつ! 伯爵家に生まれたってだけで幸せな生活を送ってたあの女っ!」
「カリーナ様! おやめください!」

 手当たり次第に周囲のものを投げては壊し、投げては壊すのを繰り返す。
 たまに起こる発作のようなもので、従姉であるミレッラへの憎悪が一定値を越えると、破壊衝動に駆られるのだ。
 自分がこんな体質になってしまったのも、ミレッラのせい。
 自分が子爵家に生まれて、貧乏に嘆いたのもミレッラのせい。
 なぜなら父が言っていたからだ。
 本当は長男である父が伯爵家を継いでいたはずなのに、父親――カリーナの祖父――に取り入った弟が横取りしたせいで、自分たちはこんなにも惨めな生活を送る羽目になっているのだと。