それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう


 カリーナ・グランベル、十七歳。
 月の女神も羨む美しい金髪と、ルビーを閉じ込めたような赤色の瞳は、カリーナにとって自分の中でのチャームポイントだ。
 お肌のケアを怠ると吹き出物が出てしまうのは自分の中で嫌いな部分だが、全体的にカリーナは自分がこの世で一番「かわいい」と思っている。
 実際、父親はいつもカリーナに甘い。
 毎日必ず「かわいい」と褒めてくれて、使用人だって「世界で一番かわいいです」と誉めそやす。
 むしろ褒めない使用人なんて人間が本来持つ感覚を失っているとしか思えないので、父に言って解雇してもらった。

「だあってぇ、リーナが一番かわいいのは当たり前だものねぇ?」
「は、はい! もちろんです! カリーナ様こそ至高! 誰よりお美し――ひっ」

 婚約者のエーゲハルトが父に呼ばれている間、カリーナは暇潰しに従僕で遊んでいたのだが、まだ勤め始めて日が浅い少年はカリーナの魅力を全くわかっておらず、躾をする。