ロランが自らここまでしたのは、先代イラニア伯爵と懇意にしていたからとか、そういう特別な理由からではない。
ただ彼は、人間不信気味のロランが珍しく警戒しなかった男で、その性質は善良かつ温厚、夜会で挨拶をするたびに妻と娘の自慢をしていたなと徐々に思い出したことで、彼を弔う意味もあったのだと思う。
そうして芋づる式に「そういえば娘は生き残ったと書いてあったな」と報告書の記載をふと思い出し、ようやく娘――ミレッラを認知した。
彼女は当主の座が叔父に渡った後も、伯爵の邸宅で暮らしていた。
若い娘がひとりで生きていけるほど甘い世の中ではないので、その選択は無難に思われたが、ロランにとっては顔を顰めてしまう選択でもあった。
というのも、このままイラニア伯爵の罪を暴けば、貴族にしては珍しかったあの温厚な男の娘まで道連れにしてしまう可能性が高いからだ。
そこでロランは、念のため娘が関与していないことを調査し、関与していなければどうにか巻き込まずに済むよう手を尽くそうと考えた。
しかしその間に、当のミレッラがハイアム男爵家の次男坊と婚約した。
ただ彼は、人間不信気味のロランが珍しく警戒しなかった男で、その性質は善良かつ温厚、夜会で挨拶をするたびに妻と娘の自慢をしていたなと徐々に思い出したことで、彼を弔う意味もあったのだと思う。
そうして芋づる式に「そういえば娘は生き残ったと書いてあったな」と報告書の記載をふと思い出し、ようやく娘――ミレッラを認知した。
彼女は当主の座が叔父に渡った後も、伯爵の邸宅で暮らしていた。
若い娘がひとりで生きていけるほど甘い世の中ではないので、その選択は無難に思われたが、ロランにとっては顔を顰めてしまう選択でもあった。
というのも、このままイラニア伯爵の罪を暴けば、貴族にしては珍しかったあの温厚な男の娘まで道連れにしてしまう可能性が高いからだ。
そこでロランは、念のため娘が関与していないことを調査し、関与していなければどうにか巻き込まずに済むよう手を尽くそうと考えた。
しかしその間に、当のミレッラがハイアム男爵家の次男坊と婚約した。
