それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「寝るから、セレナを呼んで」
「わかった。じゃあおやすみ。ゆっくり休め」
「……おやすみなさい」
 今はまだ深く考えたくないと、布団の中から顔は出さなかった。


   *


 セレナに声を掛けた後、自室に戻ったロランは、その足で浴室に行くと羽織っていたバスローブを脱いでシャワーを浴びた。
 浴槽には執事のマシューが準備してくれていた湯が張ってあったが、今は頭から水を被りたい気分だった。

「はぁ……」

 我知らずこぼれ落ちたため息に隠せない幸せが滲んでいるのに気付き、慌てて口を押さえる。
 今日のミレッラはいつもより反応がかわいかった、と油断した隙にまた頭の中で反芻してしまい、己の額を叩く。
 実はロランが初めてミレッラを認識したのは、求婚するよりもっと前のことだった。