それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 呆然としているうちに両脇を侍従ふたりに固められて、半ば引っ立てられるように応接間へ戻される。
 両肩を押さえるようにして彼らの前に膝を付かされたミレッラは、内心で必死に状況を整理しようとした。
 が、思考が追いつく前に、叔父が宣言する。

「おまえとエーゲハルトくんの婚約は破棄した。そしてカリーナとエーゲハルトくんの婚約が新たに結ばれることとなった」

 ぎゅっと、唇を引き結ぶ。
 侍従が押さえる肩が痛い。

「はっ、残念だったな、ミレッラ。ここにおまえの味方などいないことを忘れたか? おまえの幼稚な行動などお見通しよ。おまえが勝手に結んだ契約書は燃やし、婚約証は神殿に行って取り消してもらった」

 目の前に来た叔父に前髪を掴まれる。強制的に顔を上げさせられて、痛みに眉を顰めた。

「っ……理由がなければ、神殿が婚約証の破棄などするはずが……」
「理由ならある」