見上げた先の幸せ

幸樹の前に現れてくれてありがとう、か。
俺からしたら俺の前に幸樹さんが現れてくれたことが奇跡なんだけどな。
毎日暗闇でもう少しで完全に飲み込まれそうなところにいた俺にとてもとても大きな手が差し出された。その手を掴むには俺は弱くて、自信がなかった。けれどそのとてもとても大きな手は俺の手を強く握って明るい方へと強く引っ張っていった。
そんな強くて優しくて幸せの詰まっている手を俺は今しっかりと握り返せているのだろうか。

「ただいまー」
「おかえり!」
「幸樹さん?!起きて大丈夫なんですか?」
「久しぶりに真斗の敬語聞いたかも、家に来てからはタメ口で話してくれてたのに」
「…あれは、少しずつ近づけたらなって思って」
「そっか!」
「お二人さーん俺もいるんだけど」
「あ!榊さん今日はありがとうございました!いろいろと!」
「いいってことよー」
「あれなんか2人仲良くなってない?!」