見上げた先の幸せ

俺と春は話に夢中になって幸樹さんが呼びに来るまで外が暗くなっていたことにすら気づかなかった。結局春は家でご飯を食べて迎えに来たお母さんと帰って行った。

しばらくしてから部屋で読書をしていると冬璃から電話がかかってきた。

「もしもし?」
「急にごめんなんだけど最近家帰ってない?」
「引っ越した」
「え!?早く教えてよ!」
「ごめん、言ったら傷つけると思って言わなかったんだけど幸樹さんと一緒に暮らしてる」
「……三間先生と?」

幸樹さんの名前を発する冬璃の声は震えていた。鼻をすする音も聞こえた。少し遠くで音がしたからきっと気付かれないように少し離れたんだろう。聞こえてたけど。