見上げた先の幸せ

「あそうだ、奥に病室があるから寝てみない?」
「はい?」
「一人暮らししてて眠れないってことはそばに誰かいれば眠れるかもって思って、俺ここいるから寝てみなよ」
「…そんな簡単に眠れたら困ってませんよ」

そばに誰かがいる状態で眠れるかなんて冬璃と試した。もちろんダメだった。

「そっか、ごめん。じゃあ本題だけど、両親が亡くなった時のこと教えてくれる?」
「……」
「話したくない?」

話したい、全部吐き出してしまいたい。けど声が出ない。話すなと誰かに脅されているわけでもないのに。

「うーん、本当は話したいのに話せない、とか?」
「…!」
「図星か。分かった、1回深呼吸しよう」