お父様は、ここで何を言っても聞き入れてくれる人ではない。
伯爵令嬢であるため少しの教育は受けたものの、他の貴族令嬢と比べれば私が受けた教育は裕福な平民と同じくらいだ。
両親は男児を望んでいたが、生まれてきたのは女である私だった。女性は伯爵家の跡継ぎにもなれないことから、生まれてきた時からずっと散々な扱いを受けてきた。
「女のくせに生意気だ」
「男ならどれだけよかったか」
「貴方なんて生まれてこない方が良かった」
「人生の失敗だわ……。お金だけがかかる娘だなんて」
などなど。
両親から言われてきた言葉は心に残っているが、すでに麻痺していて、もうどうでもよかった。
ひどい言葉を浴びながら生き続けるよりかは、公爵家に嫁いだ方が良い生活かもしれない。そうやって自分に思い込ませながら、承諾の返事をしたのだった。


