「それでは全員揃いましたし、始めましょうか。まずは主催である私からお祝いの言葉を贈らせてください。アメリア様、この度はご結婚おめでとうございます。どうか、お幸せに」
ぼんやりと考えているうちに招待客全員がそろったらしい。リーゼの言葉で招待客の視線がアメリアの方に向かれ、周りからも「おめでとうございます」という言葉と共に拍手が贈られた。アメリアは慌てて立ち上がり、ゆっくりとお辞儀をしながら感謝を伝えた。
「……お祝いの言葉をありがとうございます。そして、このような場をご用意いただきとても嬉しく思います。もしよろしければ、こちらをお受け取りください。春摘みのファーストフラッシュのダージリンの茶葉です」
リリーに合図を送り、招待客の一人一人に用意した茶葉を渡してもらった。主催であるリーゼには大きめの缶に入ったものを渡し、招待客の方には少し小さめの缶で渡せば周りは少しざわついた。
何かしてしまったのか、何かを間違えてしまったのではないかとアメリアは不安になったが、聞こえてきた声は「これ、相当なものよ」や「確かここの紅茶ブランドってお値段が張るところでは?」という声だった。それを聞いたアメリアはますますこの紅茶の価格を考えたくはなかったが、レオンがこの高級な紅茶屋を選んだ理由はあった。それは、ウォーカー公爵家の経営が良い方向に向いていることと、アメリアに対して悪い印象を持たせないために選んだのだった。
(よかった……このことで何か言われることはなさそうね)
安堵し、もう一度軽く礼をしてから椅子に座れば席の端の方から一人一人自己紹介をしていく流れになった。他の令嬢たちからのお土産も受け取り、自己紹介が終われば話は自然と始まる。
「ところでアメリア様、ウィリアム様との生活は如何でしょうか?」
「え?」
「私も気になります! 今まで女性との噂が一切なかったウィリアム様が結婚を発表した時、本当に驚きました」
悪気もなく聞いてくる令嬢たちにアメリアは戸惑っていた。どのような生活、と聞かれても食事を共にするだけで新婚らしいことは何もない。かといって、素直にそれを答えてしまえばウォーカー夫婦は仲が悪いと噂されてしまうかもしれない。
前世ではマナーも何も知らないアメリアに対して嘲笑い、ウィリアムが可哀想と言われるようになってしまった。彼からすれば「可哀想」と思われるのは屈辱だっただろう、アメリアもそれは察していた。だからこそ、今世こそ普通の夫婦として扱われたい。だが、どう答えるのが正解なのかを悩んでいた。
「えっと……忙しい方なのでプライベートの時間はあまりありませんが、食事は毎回共にします」
「まあ! 忙しいウィリアム様が毎回共にするだなんて……アメリア様、愛されてますね」
「私も結婚をしたら、旦那様と毎回食事を共にしたいものです」
話を聞いた令嬢たちは楽しそうにしながらあれこれと憶測を立てて盛り上がっており、最初の印象と言葉を少し足すだけでこんなにも結果が変わるなんて、とアメリアは思った。これなら変な噂が立つことはないだろうと安心したが、それを崩すかの様にリーゼが口を開いた。


