旦那様に夫(腐)人小説家だとバレてはいけない!


 馬車に揺られること数十分。馬車はベネット家に到着し、アメリアは一度深呼吸をしてから馬車を降りた。

(ここがリーゼ様のお屋敷ね)

 伯爵という爵位なだけあって、屋敷はとても立派であった。アメリアが現在住んでいる公爵家の方が広いが、それでもこの屋敷の大きさを見ると経営もうまくいっているのがわかる。
 門番に招待状を見せ、名乗ればすぐに会場である庭の方へと案内された。
 そこにいた一人の女性がアメリアの存在に気づき、近寄ってきた。アメリアとは正反対に艶やかで派手なドレスだが髪の毛は綺麗に纏められ、アクセサリーも宝石がふんだんに使われているが、一目見ただけで良いところ育ちの貴族というのがわかる。

「ようこそいらっしゃいました。私、リーゼ・ベネットと申します」
「初めまして、ご招待を頂きましてありがとうございます。アメリア・ウォーカーと申します」

 互いにドレスの裾をつまみ、片足を引いて丁寧にお辞儀をする。
 アメリアの名前を聞いたリーゼは顔を顰めたが、それは一瞬のことだったため誰も気づかなかった。

「まぁ、アメリア様! 本日の主役ではありませんか。この度はご結婚、誠におめでとうございます」
「ありがとうございます」
「私ったらてっきり……結婚をしていないのではと思ってましたわ」
「え……?」
「なんでもありませんわ。奥の方に席をご用意しておりますので、座ってお待ちください」

 にこりと笑ったリーゼに何かを追求する暇もなく、用意された席に座ることになってしまった。だが、アメリアはさっきの言葉に引っかかった。「結婚をしていないと思った」とはどういう意味なのだろうか。