旦那様に夫(腐)人小説家だとバレてはいけない!



 数日後、あっという間にお茶会当日がやってきてしまった。
 朝の食事中にも「リーゼ様のお茶会に行って参ります」とウィリアムに報告をすれば「わかった。気をつけて行ってくるといい」と言われてしまった。

(失言のないように、ってことよね……)

 ウィリアムは当たり障りないように、体調や怪我などに気をつけてという意味を込めて言ったのだが、アメリアには一切伝わっていなかった。
 なんでも悪い方向に考えてしまうのはアメリアの癖でもあるが、ウィリアムもこういった日常的な会話では表情が動かない人間のため、なかなか話が通じ合うことはない。
 丁寧に髪の毛をまとめ、コルセットをキツく縛る。先日買ったばかりのドレスを身に纏えば見た目は立派な公爵夫人だ。
 レオンが用意してくれた手土産の紅茶も、上等なものだった。有名な紅茶店に注文をしてくれたらしく、その中でも希少価値が高い春摘みのファーストフラッシュと呼ばれるダージリンを頼んでくれた。
 彼の説明によれば、ファーストフラッシュというダージリンは収穫量が少ない上に花の香りと爽やかな渋みを楽しめるらしい。結婚祝いをしてくれるお茶会であれば、この程度のものがいいとのことだった。

(希少価値、と呼ばれるくらいだから相当な高級品に違いないわ……)

 アメリアはこの手土産にもどのくらいの費用が掛かったのかあまり考えたくはなかった。
 用意をし、約束の時間に合わせて屋敷を出る。どんなお茶会になるのか不安になりながら、アメリアは馬車に乗り込んだ。