アメリアのことを敵対視しているリーゼ・ベネットからお茶会の招待を受けた数日後、お茶会の詳細が書かれた手紙が送られてきた。
誰を招待したのかが書かれており、ドレスコードやお土産は特に必要ないと書かれてはいるがそんなのは口先だけだ。ちゃんと流行に合わせたドレスを着て、何か手土産でも持っていかなければ恥をかいてしまう。
前世でアメリアは、それをやってしまったのだ。ブラウン家にいた頃は社交界デビューはしたものの、淑女が参加するお茶会の招待を受けたことも主催をやったこともない。例え招待を受けたとしても母親が参加することに反対をするのが目に見えていた。
そのため、公爵夫人になったとしてもアメリアはお茶会のマナーを全く知らなかった。結果、前世でリーゼ主催のこのお茶会に参加した時大恥をかいたのだ。流行遅れの古いドレスになんの手土産もなくやってきたアメリアを見てリーゼは馬鹿にし、他に参加していた人たちもくすくすと嘲笑っていた。
「……ドレスはこの前買ったからいいけど、問題は手土産よね」
アメリアは今世こそ恥をかかないために招待を受けた翌日からマナーを学び始めた。今更マナーを学ぶというのも恥ずかしいことだが、前世みたいな思いは二度としたくなかった。
そこでアメリアは、手土産を悩んでいたのだ。お茶会なら食べ物が良いのかと思いきや、主催の人が用意してくれた食べ物と同じになってしまった時、失礼にあたるらしい。かといってワインがいいかと思えば苦手な人もいるとのこと。
今のところ候補で一番無難なのは紅茶だった。貴族の中でも親しく飲まれていて、手頃な価格のものもあれば高級な紅茶だってある。紅茶であれば文句を言う人も現れないだろうが、アメリアはそれでも不安だった。
いくらマナーを守ったところで、自分がお茶会に参加をする時点で馬鹿にされたりするのではないかと不安なのだ。それに、お茶会に参加することをウィリアムは反対はしなくても手土産代は彼からもらわなければ買うことすらできない。何度もお金が欲しいと伝えるのもアメリアにとって苦であった。
(でも、何も持っていかないで恥をかくのはウォーカー家でもある)
自分は公爵夫人だ。自分の行いは全てウィリアムにも影響を与えてしまう。そのことをしっかりと自覚しなければならない。
この後、ウィリアムと夕食を共にする。その時に話を通さなければお茶会当日に間に合わなくなってしまう。
アメリアは意を決し、食堂の方へと向かった。


