屋敷に戻り、ドレスを脱いで室内着に着替える。
作品の連載が決まらなくても作品は返してもらいたいと考えているため、先ほどまで着ていたドレスは取っておくことにした。
「ふぅ……」
アメリアはソファに深く座り、一息吐いた。
無事に提出ができたというのに、それでも緊張が完全に抜けていないからなのか、なんだか体はふわふわと浮かんでいるような変な感覚であった。
もし選ばれるとなったら、それはすごく嬉しいこと。だが、ここで期待をしすぎても結果が駄目であればショックでひどく落ち込むことにもなる。深く考えてはいけないというのに、どうしても考えてしまうのは仕方のないことだろう。
「奥様、お疲れのところ申し訳ありません。実は私たちが出かけている間に手紙が届いたようで……」
「手紙?」
リリーからその手紙を受け取り、差出人を見る。
それは伯爵令嬢のリーゼ・ベネットからの手紙であり、嫌な予感を感じながら封を切り、手紙の内容を読んだ。
読めば、アメリアの結婚に対するお祝いの言葉と結婚祝いのお茶会を開くから参加をしてほしいといった内容だった。断りたいと思っても、アメリアの結婚祝いのお茶会であれば参加せざるを得ないだろう。
リーゼ・ベネットとはベネット伯爵の一人娘である。ベネット伯爵はアメリアの父、ブラウン伯爵と商売において契約を結んでおり、娘同士の友人関係はこれといってない。だが、両親が仕事で深い関係にある以上、この誘いを断ることは尚のことできない。
前世でもこのお茶会に参加したことはあったが、それはひどいものだった。リーゼはウィリアムに婚約を申し込んだ令嬢のうちの一人でもあり、ウィリアムに恋をしていたというのに選ばれたのは同じ爵位生まれのアメリア。そのことからアメリアに対して強く敵対視しているため、お茶会に参加した時もひどい言葉を浴びせられた。
(すっかり忘れていたわね……)
アメリアは物語を読んだり書いたりをすることに夢中になっていたため、過去にあったこの出来事を忘れていた。
小説のことばかり考えていられないのか、と残念になりながらもリリーに手紙のセットを用意してもらい、返事を書き始めた。
『リーゼ・ベネット様
結婚祝いの言葉及びお茶会のお誘い、とても嬉しく思います。
ぜひ参加させて頂きます。
感謝を込めて、アメリア・ウォーカー』
短い返信にはなるが、これで十分だろう。
封筒に入れ、最後に公爵家の紋章をシーリングすれば手紙は完成した。あとはリリーに任せ、アメリアはもう一度深く息を吐いた。
(気が重いわ)
小説連載の発表よりも先に、このお茶会がある。
すでに感じている疲労を無視しながら、アメリアは軽く目を閉じた。


