旦那様に夫(腐)人小説家だとバレてはいけない!



「何か不明な点はありますか?」
「そうですね……もし通った場合にはどのようにして連絡が来るのでしょうか?」
「希望者には手紙での知らせを出しますが人によっては偽名……所謂、ペンネームを使って応募している場合もあるため、新聞にて発表をしようかと考えています。なので、新聞に自分の作品名と名前が載っていた際に再度当社に来ていただきたいと考えています」

 アメリアはホッと胸を撫で下ろした。彼女が一番心配していたのはウィリアムに知られてしまうことだ。
 自分の妻が小説を書き、それを連載していたともなればいくら興味を示さないウィリアムでも放っておくことはできないだろう。アメリア宛に手紙が届いただけで不審に思われる可能性もある。それを理由に離婚をされたり、せっかく実家に支援をしてくれているというのにそれを止められたら両親に何を言われるか考えたくない。それだけはどうしても避けたかった。

「他になければ、作品の方をお預かりします。発表の後に返すこともできますので、その際は気軽にきてください」
「わかりました。それではよろしくお願いします」
「こちらこそ。本日はご応募ありがとうございました。アミーさんの作品、楽しみにしております」

 にっこりと笑ったソフィアは、読むのを心底楽しみにしているように見えた。自分で企画を立てたところを見ると、彼女も読書好きなのかもしれないとアメリアは思った。機会があれば、彼女と友人になりたいとも思った。
 一歩外に出れば緊張していた体が解放されたからか、その場にしゃがみ込みそうになった。リリーと外で待機していた御者がそれに気づき、倒れることはなかったがアメリアの体は力が抜け、一人で立つのが少し難しいほどだった。

「ごめんなさい、ホッとしたら体が……」
「早く帰りましょう。出すものは出しましたし、あとは待つのみです!」

 アメリアはその待つ時間さえ緊張し、結果が出るまではろくに眠れない日が続続くだろうと思ったが、結果が出る日は決まっている。応募した後にできることなんて祈ることくらいで、それ以外にできることは少ない。
 二人は馬車に乗り込み、屋敷へと戻った。