旦那様に夫(腐)人小説家だとバレてはいけない!



 アメリアの声は震えていた。彼からその話題を振ってくれたのだから、自分から報告したほうが後から「なぜ言わなかった」と強く責められないかもしれない。
 震えながら話すアメリアに疑問を持ちながらも、ウィリアムはなんてこともないように「そうか」とだけ言って、食事を終わらせてしまった。

「……別に謝ることではない。また何かあれば言ってくれ」
「は、はい……」

 去り際にそう言って、ウィリアムは食堂から出て行った。
 アメリアの方といえば呆然とした。もっと何かを言われるかと予想をしていたのに、お咎めなし。さらには「また何かあれば言ってくれ」の一言。
 もしかして、ひどく冷たい人というわけではないのだろうか。アメリアは疑問に思いながらも最後の一口を食べ、席を立った。