現在、龍王の側室は30人。
 龍王にも想い人はいる。
 31人めの側室として迎え入れたいとは思っているかの人、
 100年前に王妃が嫁いできてから、想い人を見かけるようになった。

 かの思い人は、王妃付きのメイドなのだ。

 王妃には、メイドが1人しかいない。
 その1人が、龍王の想い人。
 その想い人である彼女も王妃と幼馴染だろう、同じ鬼族なので王妃に使えてこちらの国に来たばかりの頃は弱い14くらいの少女だった。

 その少女は、
 よく、龍王宮の庭の奥、
 山奥の天然温泉の露天風呂に湯浴みをしている。

 龍王はその少女の成長をそっと覗いていたのだった。

 そう、100年もの間。

 少女の成長を覗いていたのだ。
 

 王妃に殴られて失神したせいで、朝日が沈もうとしている時刻なりさすがに帰っているだろうとは思うがその露天風呂を覗く龍王。

 視界に入った光景に、思わず龍王はかの想い人の前に駆け寄って彼女の身体を掴むと湯から抱き上げる。
 遠めに見ていた通り、鬼族の間で苦労したのだろう身体中に刀傷などの痕がある。
身体の傷すら、気にならない華奢な腰とたわわになった二つの実りは欲情的で、
 閉じられていて紫紺の瞳に自身が映ってない事が至極残念になるが、
 
 のぼせているのか、温泉に長時間使っていた彼女の身体が熱く。
 自身のガウンを脱いで身体にかけると
 龍王は意識のない想い人を自室に招き入れた。

 龍王は30人の側室がいるが、誰も自室には入れた事がない。
 初めて、龍王の寝室に入れたのが想い人である事がとても嬉しかった。
 
 100年もの間、想い続けていた彼女の身体が今目の前にいる。

 しかも裸で、

 さすがに、手を出すのは王としてもアウトである自覚はある。
 
 彼女を自分のベットに寝かしつけると、
 今まで、 ずっと解放していなかった王妃の部屋と遮る扉を開け開いた。
 王妃はいないよで、
 彼女の着れそうな服を探索しようとクローゼットを開けはなって。
 龍王の手は止まる。
 何故なら、同じデザインの喪服にしか見えない身体のラインを覆い隠す服がびっしりとつまっていた。
 思わず、龍王は喪服にしか見えないドレスを全て暖炉に投げ込むと、火を放った。

 あとで、自分好みのドレスを贈ろう。

 王妃の怒りを買う事になるだろうが、
 いけすかない王妃が、嫌がる事になるならまあ、よしとしようという事に龍王は判断する。
 王妃の寝巻を借りると、想い人いる自室に戻った。