夏と先生と初恋。

涼の手がぽんぽんとわたしの頭を撫でる。


何一つ大丈夫じゃないです。


っていうか、なんでわたしが涼にたしなめられてるの?


するりと頬に降りてきた涼の手が視界に映る。


…そういえば藤木先生も、綺麗な手だったな。


身長も涼より高かったような気がする。



「…なに考えてんの?」



「え?」



眼前に広がる不満そうな涼の顔。


ついさっきまで、機嫌良さそうな顔で


訳のわからないことをしていたのに。


でもそのおかげで、涼の腕が少し緩んだ。


その隙を狙ってするりと抜け出す。



「わたしが何考えててもいいでしょ!」



藤木先生のこと考えてた、なんて言えるわけない。


涼のことだからからかってくるに決まってる。



「ひまと涼くん!」



ちょうど開いたドアから沙耶が乗り込んできた。


ギリギリセーフ。


あとちょっと離れるのが遅かったら、


沙耶に見られていたかもしれない。