夏と先生と初恋。

わたしは、あのときの失敗を言い訳にして、


逃げてるのかもしれない。


そして、目を逸らして、見ないようにしてる。


…ても、確かに



「わたしも、何もしないで負けるのはいやだ」



またあんなふうになりたくない。


みんなの足を引っ張りたくない。


だけど。


それ以前に、


わたし以外が吹くソロなんて聞きたくない。


あの綺麗な旋律を、わたしだけのものにしたい。



「…葵ちゃん、ありがとう」



事情を知らない葵ちゃんは、ただただ困惑している。



「わたしも一緒に藤木先生さがしてもいい?」



「え?」



こわさは消えていない。


コンクールのホールで


吹き切れる自信があるわけじゃない。


わたしは、あの旋律が好きだから、


オーディションをうける。


今のわたしの、純粋で、1番素直な気持ち。



「…ソロオーディション、わたしも受けることにした」