夏と先生と初恋。

わたしは葵ちゃんに藤木先生の居場所を聞かれた。



「藤木先生?見てないかなー。何か用事?」



「コンクールメンバーと、ソロのオーディション


受けます、って先生に伝えたくて」



…葵ちゃん、オーディション受けるんだ。


初心者から始めたから、


受けないかもと思っていたけど。



「葵ちゃんは、すごいね」



「え?なにがですか?」



葵ちゃんはきょとんと不思議そうな顔。



「楽器はじめたばっかりなのに、


オーディション受けるって決めて、


ぶつかりに行けるの。


…ほんと、すごいと思う」



わたしにはできていないから、なおさら。


葵ちゃんがすごくまぶしく見える。



「違いますよー。


わたし、めっちゃ負けず嫌いなんですよ。


初心者だからって言い訳して、


オーディションから逃げるのって、


なんか負けた気がしません?」



言い訳…


逃げ…