夏と先生と初恋。


「うん。それでいいよ」


藤木先生はゆっくりと頷いた。


わたしも、先生も、何も言わない。


沈黙のなか、お互い逸らすことのない視線。


———少しだけ、心臓の鼓動が


速くなったような気がした。



「ひーまーりー、たーけーなーかーひまりー」



…なんかわたし呼ばれてない?


…涼に。



「じゃあ俺は戻るね」



「っ、はい!ありがとうございました」



藤木先生のいなくなった教室。


なぜだか、顔が熱いような感じがする。



「あ、ひまりいた」



藤木先生と入れ替わるように現れた涼。



「まじで全然見つかんねーし、


もう帰ったのかと思ったわ」



わたし、涼に探されてた…?



「ほら、これ」



涼に差し出されたのは、わたしの弁当袋。



慌ててカバンを覗くと、確かに弁当袋は入っていない。



「え?なんで涼が?」



「教室の机の上に置き去りになってた」