夏と先生と初恋。

…これは、クラリネットのソロだ。


10小節くらいだろうか。


メロディを吹いているのはクラリネットだけなのに、


世界を一周したような壮大さがある。


そして、曲は一気に盛り上がる。


テンポも上がり、クライマックスへ。


様々な楽器によって繰り返される32分音符。


その噛み合わせが綺麗にハマって、


大きな波のうねりのようだ。


最後に伸びたハーモニーで、


幻想の世界から


現実に戻ってきたような錯覚に陥る。


…こんな曲、わたしたちにつくれるのかな。



「…難しい曲だよ。すごく。


高校生に求めるのは酷かもしれない。


でも、みんなの音を初めて聞いた時に、


この曲しかないって思ったんだ。


みんななら、この曲で


ものすごい世界をつくれる気がした。


無謀だって言われるかもしれない。


それでも俺はみんなとこの曲をつくりたい。


…これが、俺がこの曲を選んだ理由だよ」