夏と先生と初恋。




藤木先生から招集がかかった。


つい最近も集められたばかりなのに、


今度はなんの話があるんだろう。



「コンクールの自由曲を決めたよ。


今日はみんなにその曲を聞いてもらおうと思って」



配られた楽譜に書かれた曲名は、



交響曲第5番『空』



みたことのないくらい細かい音符が


びっしりと五線譜を埋めている。


まだ曲を聞いていないから


わからない部分もあるけど、


きっと難易度はかなり高い。



「楽譜、行き渡った?


…じゃあ流すね」



曲の最初は、木管とハープから始まった。


木管低音が加わって、そして金管が加わる。


色んなメロディが複雑に絡み合って、


なんともいえない、


混沌とした雰囲気をつくっている。


曲の冒頭はそんな印象を受けた。


低音の、一際大きい響きが残ったと思えば、


一気にどこか物悲しいような


やわらかなメロディに変わる。