夏と先生と初恋。


懐かしむように目を細める希空先輩。



「で、本題です!」



ジャジャーン、と


効果音がつきそうなほど大袈裟な仕草で、


小さな何かが希空先輩のポケットから取り出される。


なんだろう。


…ペンギン?


ひものついた、ペンギン型のマスコットのようなもの。



「これをひまりちゃんに」



差し出されたペンギンは、


フェルトで作られた手作りのようだった。



「…これ、もしかして希空先輩が作ったんですか?」



そのペンギンはちょっとだけ目の位置がずれていて、


手作りらしい温かみを感じた。



「そーだよー、


私、裁縫苦手だからさー、


他の幹部のみんなのと比べたら


すっごい不恰好になっちゃった」



すごい。


わざわざわたしのために。


受験生で忙しいはずなのに。



「ありがとうございますっ、」



先輩の手からわたしの手に渡ったペンギン。


潰れない程度に、柔らかく握りしめる。