「竹中にはつくりたい世界が


ちゃんとある感じがする。


もちろん、まだまだ不鮮明な所も多いけどね」



視界の端に映った梨香先輩は悔しそうに俯いていた。


藤木先生と目が合う。


その目はふわりと細められている。


吸い寄せられるようなその瞳。


わたしはしばらく、美しいそこから


視線を逸らすことができなかった。


藤木先生は、


わたしたちに同じフレーズをもう一度吹かせた後、



「残りは自分たちで頑張ってごらん」



と言って、教室を後にした。




———窓の外に広がる青空は、


どこまでも続いているような気がした。