夏と先生と初恋。

ソロパートが多く、


春の儚さや朧気さを感じさせる曲だ。



「じゃあ、パートで合わせてみようか」



1人ずつ吹くはずだったけど、


藤木先生の指示によって


1人目で終わりになるみたいだ。


ちらりと盗み見た梨香先輩の表情からは


なんの感情も伺えない。



「前野、カウントできる?」



「はい、」



藤木先生に呼ばれた梨香先輩がカウントする。


タンギングで、メトロノームから


ずれてしまうことはなくなった。


ただ、なんだかすごく


単調なメロディに聞こえてしまう。


本当はもっと繊細で、


桜の花びらが散っていくような、


そんなメロディなはずなのに。



「音質と音程は前野に合わせたらいいかな。


でも、吹き方の雰囲気は竹中が1番いい」



前野——梨香先輩が褒められるのはよくわかる。


梨香先輩の音は、はっきりしていてすごく綺麗だ。


…竹中?私?