夏と先生と初恋。

梨香先輩の言う通り、


タンギングをする時にずれて、


テンポが重くなってしまっているみたいだ。



「……タンギングできてない人は


自分でわかってるよね?


すぐに直そうよ」



良くも悪くも、梨香先輩は厳しい。


自分にも、他人にも。


そして、言葉を選ぶ、と言うことをしない。


わたしにはとても直接は言えないようなことでも


真っ直ぐストレートに伝える。



「もう一回。次で絶対直して」



3度目の正直、仏の顔も3度まで。


教室に緊張感が漂う。


梨香先輩のカウントで始まる音。


あ、…ずれた。


途中までは上手くいっていたのに。


誰か1人、テンポについていけなくなった人がいる。



「1人ずつ、やろうか」


梨香先輩は、大きなため息をついた。


クラリネットのパート練習は、


こうなるまでが1セット。


全員でやっても上手くいかないときは、


1人ずつやってできるようになるまで終わらない。