夏と先生と初恋。


勝ち気に笑った涼の顔。


沙耶の耳がほんのり赤くなった。


確かに涼の言う通りだ。


でも、


あそこにたどり着くまでに、


どれだけの時間が必要なんだろう。


わたしには、途方のない、


ずっとずっと先のことのような気がした。



「ん、?あれ、藤木先生じゃね?」



「え?」



涼の指さす先には、


確かに藤木先生のような人がいる。



「行ってみよう!」



沙耶の言葉にうなずいて、


3人でその人に近づいた。


ほんのり茶色を帯びた髪に、すらりと高い身長。


…藤木先生だ。


間違いなく。



「…話しかけてみる?」



「話しかけるのは…うーん、いいのかな?


先生もプライベートだよね…」



涼と沙耶が2人でコソコソ話している。


いつの間にこんなに仲良くなったんだろう。


っていうか、


この距離で話したら藤木先生に聞こえちゃわない?


…聞こえてたらしい。


振り返った先生が不思議そうにこちらを見た。