夏と先生と初恋。

圧倒されたのはわたしだけではなかった。


隣の沙耶も、その隣に座る涼までもが、


食い入るように陽光高校の演奏に聞き入っている。


曲の最後、マーチの軽やかさを損なわず、


それでいて芯のある低音が響いた。


ホールに拍手が鳴り響く。


これに、勝たないといけない。


わたしたちが立てた目標の大きさを、


改めて思い知ったような気がした。



———「本日は陽光高校吹奏楽部、


定期演奏会にお越しくださり


誠にありがとうございました。


また、みなさまのお目にかかれますことを、


部員一同、心よりお待ちしております」



ステージにしかついていなかった明かりが、


客席にもともった。



「…ほんとに、すごかったね。


あたしもあんな音が出せるようになりたいな」



「…そうだね」



ステージ上の部員たちに向けられる、


キラキラとした沙耶の眼差し。



「俺たちはあれに勝つんだろ?


憧れてちゃダメだろ」