なるほど…
せっかくだから、
沙耶ともっと話して欲しかったけど仕方ない。
「…りょ、涼くん、またね…」
「ん、」
せっかく沙耶が一生懸命話してるんだから、
ん、はないでしょ。
もうちょっとまともな返事してあげてよ。
そんなわたしの思いを涼が知る訳もなく、
涼は曲がり角を曲がっていった。
「…ひま、あたし、涼くんに名前、呼ばれたよね…!」
「うん。ちゃんと呼んでたね」
涼は、興味ない人に関しては
とことんなにも覚えないタイプだから、
涼も沙耶に興味があるのかもしれない。
「どうしよう、ひま、
あたしこれだけで一生生きていけそう」
お、大袈裟すぎでは…?
——わたしは、恋を知らない。
だからなのかな。
わたしには沙耶の気持ちがよくわからない。
✳︎✳︎✳︎
「続いて演奏する曲は、——」
ここは、この地域で1番大きなホール。
