夏と先生と初恋。

初めての感覚だった。



「これが、音楽だよ。


世界をつくるんだ。


自分も、お客さんも、全部を物語の一部にして、


世界をつくる。


君たちは、どんな世界をつくりたい?」



呆然とするわたしたちに向かって、


藤木先生が語りかける。


これが、音楽。


訳もなく、涙が溢れそうになった。



「みんなの演奏は、


まだまだ足りないところはたくさんある。


でも、世界を作り出せる力を持ってる。


だから俺は、みんなとなら、


全国大会金賞を目指せると思ったんだ」



思ってもいなかった言葉に、目を見開いた。


藤木先生は、全員と目を合わせるように


音楽室中を見回した。


一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、


わたしの視線と藤木先生の視線が


かちあったような気がする。


この先生についていきたい、


この先生の指揮のもとで世界をつくりたい、


そう思った瞬間だった。