夏と先生と初恋。


次に声を上げたのは、


音楽に関するリーダーである、


コンマスの希空(のあ)先輩。



「でもさ、みんな音楽が好きだから、


吹奏楽をやっているんじゃない?


この学校を選んで吹奏楽部に入ったってことは、


上に行きたい、っていう


気持ちがあったからなんじゃない?」



勉強の不安を口にした部員は、


はっ、としたように顔を上げた。



「ずっとずっと、


何代も前の先輩にも


辿り着くことができなかった場所を、


私たちで目指してみたい、


そう、思わない?」



「…思い、ます、」



真っ直ぐな希空先輩の言葉は、


音楽室の雰囲気をひっくり返した。



「…他に目指したい場所があるとか、


意見がある人はいますか?」



手を挙げる人はいない。



「じゃあ、多数決をとります。


全国大会金賞を目指すか、


それ以外の目標を作るか。


全員、どちらかに手を挙げるようにしてください」