死に戻ったお荷物姫は半年後の処刑を回避したい~でも、冷徹皇太子からの溺愛は想定外です!~

「ミスティアの初代王はエルフの姫を妻に迎えたという、ミスティアでは子どもたちが最初に覚える物語です」

 真偽はともかくどの国にも王家や皇族が特別だという伝承がある。

 だがリーナの白い肌と美しい髪を見ていると、本当にエルフの末裔かもしれないと思えた。

 西山までは馬車でまる一日かかる。

 馬車に飽きればリーナを抱えて馬に乗り、農地や牧場が広がる景色を楽しんだ。皇太子一行とは公にせず、西山へと観光に向かう貴族という体で進んだため、通りかかった街では食堂にも入った。

「レオ、私、こんなに楽しい旅行は初めてです!」

「そうか。よかった」

 見るものすべてに興味を持ち、頬を赤らめ高揚する彼女を見るのはうれしかった。

 侍女のサラを除けば、彼女はたった一人でなにも知らない誰も頼る者がいないここに来た。自分が彼女をえらんだばっかりに。

 誰よりも幸せになってもらわなければ。

(大切にする責任があるから)

 まるで自分に言い訳をするようにそう思った。