死に戻ったお荷物姫は半年後の処刑を回避したい~でも、冷徹皇太子からの溺愛は想定外です!~


 司書がせわしなくメガネを指先で触りながら本を差し出した。

 彼に黒の魔石の話をすると、それは一大事だと一緒に調べてくれている。

「もしかするとこの滝が〝古竜の滝〟かもしれません」

 西山には滝が沢山あるが、現在〝古竜の滝〟という名の滝はない。

 司書が指を指す古文書には、竜が住んでいる場所が書かれている。うねる呪文のような文字を見てリーナはこくこくと頷いた。

「凄い! 地図を合わせるとちょうどこの滝ですね!」

「しかし妃殿下は凄いですね、古文書が読める方は貴族でもめったにいないというのに」

「古い本が好きで」

 笑ってごまかしたが、好きというよりも楽しみはそれしかなかったと言っていい。リーナの部屋の奧には捨て置かれた物置があり、そこにあった古い本を読むために独学で学んだのだった。

(とにかくよかったわ)

 出発は明日だ。