死に戻ったお荷物姫は半年後の処刑を回避したい~でも、冷徹皇太子からの溺愛は想定外です!~

「彼はアカデミーを首席で卒業し、そのまま秘書官になって五年。ずっと宮殿に寝泊まりしているんだ」

「家には帰らないのですか?」

「子爵家の三男でね。独立するまで帰るつもりはないらしい」

 なるほどと納得する。跡継ぎでない男子はいずれ家を出るしかない。それはミスティアでも帝国でも同じだ。城には山ほど部屋があるしここにいる限り居場所になやまずに済む。

 少し羨ましいなとリーナは思った。

(私も侍女としてここで働きたい。皇太子妃じゃなければ殺されないもの……)

 複雑な思いを胸にカップを取る。

 あらためて香りを楽しみつつ、自分にはこんなふうに上手に紅茶は淹れられないわと悲しくなった。侍女になっても早々に失敗して前世より早く命を落としそうだ。

「リーナ。欲しいものはないか?」

 ハッとして顔を上げるとレオが微笑んでリーナを見ていた。

「騎士団長の件、礼をしたいんだ」