「よかった。そろそろお声をかけようかと思っていたんです。なにしろ今日は結婚式ですからね。お召し替えの前に湯浴みを――」

(結婚式?)

 そんなはずはない。

 リーナは失敗したのだ。そして十九歳を迎えたあの日――。

「お前のような無能はいらぬわ!」

 皇帝に殺されたのだから。