この音はなんだろう。高く響く口笛と、歓声のような――。

(レオナルト様が助かったからかしら……。それとも、私が処刑されるのが、そんなにうれしいの)

 頬を濡らす涙を無意識のうちに拭ったリーナは、瞼をゆっくりと上げた。

「え?……」

 驚いたとはいえ見覚えがないわけじゃない。ここは自分の部屋なのだから。

 だが彼女がいたのは処刑場だったはず。それがなぜフカフカのベッドにいるのか、混乱しつつごくりと喉を鳴らす。

 連行されるときに怪我をした腕をさすってみたが、なんともない。体はどこも痛くはないし、地下牢で汚れていたはずの手にも泥はついていない。

 恐る恐る上半身を起こし、思い切って歓声が聞こえてくる窓辺に向かおうとすると「姫様」と声をかけられた。

「お目覚めになられたのですね。おはようございます」


「サラ?」