死に戻ったお荷物姫は半年後の処刑を回避したい~でも、冷徹皇太子からの溺愛は想定外です!~

 あれからさらにひと月、寝る間を惜しんで訓練した今ならば、彼の傷も、新たな負傷も全部治せると信じたいけれど……。

「あっ……」

 戸惑いの声を上げるサラの視線を追って振り向くと、皇帝の側室のひとりである第二夫人とヴィクトリアがいた。

 この庭園は基本的に皇族しか入れないが、皇族が一緒なら別だ。

 とはいえここは広い宮殿でも、皇太子宮に近く今まで誰かと出くわしたことはなかった。取り立てて珍しいものがあるわけではないし、第二夫人がいる離宮からここまで歩いてくるには三十分以上かかる。

 敗戦国から来たという第二夫人は側室の中でもっとも穏やかな女性だ。皇帝との間に娘しかいないこともあり皇后やレオとの関係も良好と聞いている。

「ごきげんよう」

 教育係に習った通りの挨拶を返すと、第二夫人が意味深長に青霧遺跡を扇子の先で示した。

「あそこにはなにがあるのかしら?」