死に戻ったお荷物姫は半年後の処刑を回避したい~でも、冷徹皇太子からの溺愛は想定外です!~

 医者の治療と聖水のおかげで傷口は塞がったが、激しい戦闘に耐えられるかどうか。憂鬱な気分を抱えたレオは、見晴らしのよさそうな大きな木を見つけて上った。

 晴れていても曇っていても彷徨うように霧が漂っている。太陽の光を浴びて虹色に輝く霧を見ていると焦る気持ちがいくらか落ち着いた。

 今回のように命を狙われるのは珍しいことじゃない。ヴァイスの皇族として生まれたからには、強くなり危険と隣り合わせの日常を受け入れていくしかない。食うか食われるかの弱肉強食の世界だ。

 そんなことを考えていると人の気配がした。

 ピンク色の髪をした女の子が、歌って踊りながら大きな犬と戯れている。

 女の子は落ちた葉に顔を上げて、レオを見つけた。

『あなたは誰?』

 木を降りると彼女は目を丸くした。

『まあ大変。怪我をしているわ』

『大げさだな。ただの擦り傷だ』