さかのぼること2時間前。
「ヒナー!これ、蒼真くんの家に届けてくれない?」
「はーい」
私のママと蒼真ママはとっても仲良し。こうして蒼真ママにおすそわけするのはいつものこと。 私的には、蒼真と話せるから、いいんだけど。
ーピーンポーンー
「はい?って日奈!どしたん?」
「そーまママいる?おすそわけ!」
「母さん今日出張。」
「えぇぇ。恵美さん(蒼真ママ)と話したかったのにー」
「俺だけですいませんね。とりま上がりな、ヒナの好きなお菓子あるよ。」
「まじ!!ありがとおー!」
蒼真の家には、私がいつきてもいいように、私の好きなお菓子がよく用意されている。これも、蒼真の家に行く一つの楽しみだ。
リビングで他愛ない話をしていると、蒼真が不意に、少し低い声で尋ねた。
「最近、ヒナ、理央と仲いいよな。」
「あー!理央さ、あのね、めっちゃおもろいし、話し合うんだよねぇっ!」
私は理央との楽しいやり取りを思い出して、顔がほころんだ。
(日奈の顔が緩むの、ムカつくな)
「へぇ。じゃあさ、ひな。理央に告られたら付き合う?」
その質問に、私は深く考えずに答えた。
「まあ、好きな人いないし、理央なら楽しそうだから、付き合う。」
「ふーん。じゃあ、俺だったら?」
「いやいやいや、蒼真はちっちゃいころから一緒にいすぎて、異性として見れない笑笑」
「は?」
空気が一瞬で凍りついた。いつもの優しい、余裕のある蒼真の声じゃない。 え、えっと、怒らせちゃった?え、でも普通に一緒にいすぎて、異性として感じれないんだけど、、、。
蒼真は立ち上がり、ゆっくりと私に近づいてきた。その顔は、学校で女子に見せる「塩対応」よりもずっと冷たく、真剣で、どこか切羽詰まっているようにも見えた。
「え、ちょ、そーま、なななななにしてるの」
気が付けば、私はソファに押し倒され、上に覆いかぶさる蒼真の顔が、異常に近かった。
「ん?押し倒してるだけだけど?」
「いやいやいや、私たち、そーゆー関係じゃないんだよ?」
「ヒナが、俺のこと男として見てくれないから。」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓がドクンと大きく跳ねた。
「いやそれは、、、。」
混乱と驚きで体が動かない。だけど、この状況に、微かな動揺と、なぜか少しの熱を感じてしまっている自分もいた。
「俺は、ヒナのことが好き。付き合いたいと思ってる。ただの幼馴染なんかじゃ、嫌だ。」
蒼真の視線は、私の目から逃げられないように私を捕らえていた。
「っへ?」
蒼真は、私のことが好き、、、? いやいやいやあり得ない。私なんて、ただの幼馴染。蒼真の隣にいるのが当たり前の存在。 この関係は、私が自分の意志を持てるようになった大切な、ヒーローとの関係だ。これを変えたら、きっと私は私でいられなくなる。 いや、もし、ほんとに恋愛対象として好きだったら、このまま幼馴染でいるのは、蒼真にとって辛いんじゃないか? 色々な考えが頭の中を巡ったが、結局、口から出たのは、一番望む言葉だった。
「私はこの関係を、変えたくないから!」
私はそう言って、力を振り絞って蒼真の横をすり抜け、彼の家から飛び出した。 (
やっぱり、そうだよな。俺なんて、ただの、幼馴染。) 蒼真は、逃げる日奈の背中を見つめながら、拳を固く握りしめた。
「ヒナー!これ、蒼真くんの家に届けてくれない?」
「はーい」
私のママと蒼真ママはとっても仲良し。こうして蒼真ママにおすそわけするのはいつものこと。 私的には、蒼真と話せるから、いいんだけど。
ーピーンポーンー
「はい?って日奈!どしたん?」
「そーまママいる?おすそわけ!」
「母さん今日出張。」
「えぇぇ。恵美さん(蒼真ママ)と話したかったのにー」
「俺だけですいませんね。とりま上がりな、ヒナの好きなお菓子あるよ。」
「まじ!!ありがとおー!」
蒼真の家には、私がいつきてもいいように、私の好きなお菓子がよく用意されている。これも、蒼真の家に行く一つの楽しみだ。
リビングで他愛ない話をしていると、蒼真が不意に、少し低い声で尋ねた。
「最近、ヒナ、理央と仲いいよな。」
「あー!理央さ、あのね、めっちゃおもろいし、話し合うんだよねぇっ!」
私は理央との楽しいやり取りを思い出して、顔がほころんだ。
(日奈の顔が緩むの、ムカつくな)
「へぇ。じゃあさ、ひな。理央に告られたら付き合う?」
その質問に、私は深く考えずに答えた。
「まあ、好きな人いないし、理央なら楽しそうだから、付き合う。」
「ふーん。じゃあ、俺だったら?」
「いやいやいや、蒼真はちっちゃいころから一緒にいすぎて、異性として見れない笑笑」
「は?」
空気が一瞬で凍りついた。いつもの優しい、余裕のある蒼真の声じゃない。 え、えっと、怒らせちゃった?え、でも普通に一緒にいすぎて、異性として感じれないんだけど、、、。
蒼真は立ち上がり、ゆっくりと私に近づいてきた。その顔は、学校で女子に見せる「塩対応」よりもずっと冷たく、真剣で、どこか切羽詰まっているようにも見えた。
「え、ちょ、そーま、なななななにしてるの」
気が付けば、私はソファに押し倒され、上に覆いかぶさる蒼真の顔が、異常に近かった。
「ん?押し倒してるだけだけど?」
「いやいやいや、私たち、そーゆー関係じゃないんだよ?」
「ヒナが、俺のこと男として見てくれないから。」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓がドクンと大きく跳ねた。
「いやそれは、、、。」
混乱と驚きで体が動かない。だけど、この状況に、微かな動揺と、なぜか少しの熱を感じてしまっている自分もいた。
「俺は、ヒナのことが好き。付き合いたいと思ってる。ただの幼馴染なんかじゃ、嫌だ。」
蒼真の視線は、私の目から逃げられないように私を捕らえていた。
「っへ?」
蒼真は、私のことが好き、、、? いやいやいやあり得ない。私なんて、ただの幼馴染。蒼真の隣にいるのが当たり前の存在。 この関係は、私が自分の意志を持てるようになった大切な、ヒーローとの関係だ。これを変えたら、きっと私は私でいられなくなる。 いや、もし、ほんとに恋愛対象として好きだったら、このまま幼馴染でいるのは、蒼真にとって辛いんじゃないか? 色々な考えが頭の中を巡ったが、結局、口から出たのは、一番望む言葉だった。
「私はこの関係を、変えたくないから!」
私はそう言って、力を振り絞って蒼真の横をすり抜け、彼の家から飛び出した。 (
やっぱり、そうだよな。俺なんて、ただの、幼馴染。) 蒼真は、逃げる日奈の背中を見つめながら、拳を固く握りしめた。


