完璧王子の幼馴染は、なぜか私から離れたがらない。

「ひーなっ!どうしたの?なんか悩んでることあるの?」

休み時間、ぼーっとしてた私に、亜美が心配そうに顔をのぞき込んできた。
その目があまりに優しくて、胸がちょっと痛くなる。

「……あのね、……」

言うか迷ったけど、誰にも言えなかったモヤモヤがもう限界で、
私はゆっくりと、蒼真とのことを全部話した。

好きだって気づいてから毎日ドキドキしてること。
付き合ってないのに、蒼真は当たり前みたいに“隣”にいてくれること。
告白みたいなことされたのに、恥ずかしくて素直に答えられなかったこと。

言いながら、顔がどんどん熱くなっていく。

「……っていうこと、なんだけど。」

「なるほどね〜〜〜〜。」
亜美は腕を組んで、ふむふむと聞いていたかと思ったら、

「んで! 日奈がめちゃくちゃ蒼真くん意識してるってことは、
もうほぼ恋じゃん。」

「や、やっぱりそう思う……?」
小さく聞いたら、亜美がにやぁっと笑った。

「てかさ日奈、いつの間にそんな進んでたわけ?
幼なじみでそれは、エモすぎるんだけど?」

「い、いやぁ……そんな……///」
耳まで熱くなる。
亜美の探りの目線が、ほんとに痛い。
でも、優しくてあったかい。

「まあ、確かにね。幼なじみってさ、意識すると急に恥ずかしくなるよね。
ずっと隣にいた分、逆に言えなくなるっていうか。」

「そうなんだよ……。なんか、気まずくなるのがこわいっていうか……」

「わかる〜。でもさ。」

亜美は私の手をぎゅっと握った。

「口に出さないと、蒼真くんには伝わらないよ?
あの人、日奈のこと好きでしょ。
だったら、ちゃんと言ってあげないと、すれ違っちゃう。」

「……そ、そーだよね。がんばってみる。
怖いけど、ちゃんと、言ってみる。」

「その意気! 日奈なら絶対大丈夫!」
亜美は満面の笑みで背中をポンッと叩いた。

心臓はまだずっと忙しいけど、
胸の奥のモヤモヤが少しだけ晴れた気がした。