完璧王子の幼馴染は、なぜか私から離れたがらない。

「うぇぇぇぇぇん」
「どうしたんだ、ヒナ。」
「ひなの使ってたおもちゃ、陸君に渡しちゃったよお~」
「ヒナは陸に貸してあげたんだろ?やさしいじゃんか。俺はそんなヒナがいいと思うよ。俺と、あそぼーぜ。」
「う、うん、、、。そーまくん、ありがとう。」
「いいよ。俺はヒナの幼馴染だから。」

「ひーなぽんっ!おはよーっ!」
「おはよ!」
私は桜井日奈。高校一年生だ。
私には、幼馴染がいる。
それはー

「キャーっ!来たよっ!」
「やば、今日もカッコ良すぎっ!」
「「蒼真くん~!!」」

私の幼馴染は、この女子からキャーキャー騒がれている、この、今井蒼真だ。
蒼真は頭良くて、スポーツもできて、性格もよくて、イケメンだ。だから、学校の女子にはすっごいモテてる。
だけど、、

「蒼真くんっ!好きです。付き合ってください。」
あ、あれは学年一かわいい相模原さんだ、、、。
「ごめん無理。」

そう、蒼真は完全塩対応なのだ。
女子たちは「塩なとこもかっこいい~」とか言ってるけど、正直、カッコいいとは思わないと思う。

「ヒナ。おはよ。」
「そーまおはよ。相模原さんに告られてたね。」
「相模原?あぁ、さっきの女子か。」
「そーまさ、塩対応過ぎない?感じ悪いよ?」
「そうかな。まぁいいよ。もてたいわけじゃないし。」
「ふーん」
「じゃ、またあとで。」
「ばいばーい」
こんな感じで、私と蒼真は普通に仲いい。まぁ、ちっちゃいころからずっといたしなー。この関係が終わるのは、やだな。

「いいなぁひな。あの蒼真くんと幼馴染だなんて!!」
「いや、そんなことないよぉ」
「なになに、何の話!?」
「理央ー!おはよっ!」
「おはよ、ひなぽん!」
理央は私たちと仲がいい男子の一人だ。明るくて、気が利いて、いつも私を『ひなぽん』ってからかう。
「蒼真くんと幼馴染とかうらやましいって話。」
「あー、そりゃ羨ましいだろ。まぁ、蒼真はクールでとっつきにくいけど、ヒナには甘いからな。」理央がニヤッと笑って、私の頭をポンと叩いた。

(あいつ、だれだっけ。ああ、理央か。チッ。日奈の頭を触るな。日奈は俺のものなのに。)蒼真は、二人から少し離れた場所で、静かにその光景を見ていた。